大きな市場ほど、勝てるとは限りません
私は東京エレクトロンで約20年間、半導体製造装置の仕事に携わり、14カ国・50件以上のプロジェクトを経験してきました。世界中の半導体メーカーと仕事をする中で、最先端の技術競争を目の当たりにし、多くの成功と失敗を見てきました。
その経験から学んだことがあります。それは、「市場が大きいこと」と「勝てること」は、まったく別の話だということです。
市場が大きければ、多くの企業が参入します。資金力のある企業、ブランド力のある企業、技術力の高い企業が集まり、競争は激しくなります。つまり、大きな市場ほど競争が激しくなり、利益を出すことが難しくなるのです。
一方で、優れた企業ほど、自分たちが確実に価値を発揮できる市場を見極めています。世界を代表する企業であっても、すべての市場で一番を目指しているわけではありません。
「ここでは絶対に負けない。」
そんな市場を持っているからこそ、長く成長し続けることができるのです。
ところが、中小企業の経営相談を受けていると、多くの経営者が逆の発想をしています。
「市場が大きいから参入したい。」
「需要が多いから売れるはずだ。」
もちろん、その気持ちは理解できます。しかし、市場が大きいということは、それだけ競争相手も多いということです。価格競争になり、利益率は下がり、社員は疲弊し、経営者は「こんなに頑張っているのに利益が残らない」と悩むことになります。
私はこれまで数多くの経営改善に携わってきましたが、利益が出ない会社の多くは、「戦う場所」を間違えています。努力が足りないのではありません。勝ちにくい市場で戦っているのです。だから私は、経営者にいつもお伝えしています。
「市場を広げる前に、市場を絞ってください。」
その方が、会社は早く強くなります。
勝てる市場は、自分で設計するものです
今まで多くの企業の相談やご支援してきた中で、業績を大きく改善した会社には共通点があります。それは、「何でもできます」という会社ではなく、「この分野なら誰にも負けません」という会社です。
例えば建設業であれば、「建設業全般」を対象にするのではなく、「医療施設専門」「食品工場専門」「物流倉庫専門」と市場を細分化する。IT企業であれば、「システム開発」を売るのではなく、「製造業の在庫管理に特化したシステム」や「建設業向け業務改善システム」に絞る。すると、不思議なことが起こります。お客様は価格ではなく、「専門性」で選んでくださるようになります。営業効率も上がり、紹介も増えます。社員の知識も深くなります。結果として、利益率まで改善していきます。私はこれを「市場を小さくする」のではなく、「勝てる市場を設計する」と考えています。
市場は最初から存在しているものではありません。経営者が、自社の強み、お客様の課題、競争環境を見極めながら、自ら設計していくものです。そして、その市場で高い占有率を築くことができれば、大手企業と真正面から戦う必要はありません。大切なのは、一番大きな市場で戦うことではなく、
自社が一番になれる市場を見つけることです。
私はGHOST経営™で、「構造が利益を生む会社をつくる」とお伝えしています。その第一歩は、利益構造を設計する前に、「どこで勝つのか」という市場構造を設計することです。
市場選びは営業戦略ではありません。会社の未来を決める経営戦略なのです。
市場を細分化すると、競争のルールが変わります
私はこれまで、建設業、不動産業、IT企業、製造業、サービス業など、さまざまな業界の経営改善をご支援してきました。共通して言えることは、「売れない」のではなく、「勝ちにくい市場で戦っている」というケースが非常に多いということです。
例えば、「中小企業向けコンサルティング」という市場だけを見れば、多くの競合が存在します。しかし、それを「利益構造設計に特化したコンサルティング」「経営OSを構築する支援」「社長依存から構造依存へ転換する支援」と細分化すると、競争の相手は大きく変わります。価格競争ではなく、価値で選ばれるようになるのです。これは商品を変えたわけではありません。市場を変えたのでもありません。
「どこで戦うか」という視点を変えただけなのです。
私は経営者によく、「競争相手を見てはいけません」とお伝えします。見るべきなのは、お客様です。お客様がどのような悩みを抱え、どのような価値を求めているのか。そこを深く理解すればするほど、市場は自然と細分化され、自社だけのポジションが見えてきます。
市場を小さくすることは、可能性を小さくすることではありません。競争を減らし、利益を大きくするための経営判断なのです。
GHOST経営™は「勝てる市場」を構造でつくります
私はGHOST経営™を開発したとき、「どうすれば社長がいなくても利益が積み上がる会社をつくれるのか」を考え続けました。その答えは、「人を変えること」ではありませんでした。
「構造を変えること」でした。
市場選びも、その構造の一つです。多くの会社は、「売れる商品」を探します。しかし、本当に重要なのは、「売れる市場」を設計することです。市場が変われば、営業のやり方も変わります。価格も変わります。利益率も変わります。採用する人材も変わります。教育の方法も変わります。つまり、市場を決めることは、会社の未来を決めることなのです。
GHOST経営™では、利益構造、営業構造、組織構造、教育構造を一つの経営OSとして設計します。その出発点となるのが、「どこで一番になるか」を明確にすることです。世界一を目指す必要はありません。日本一である必要もありません。しかし、お客様から「この分野なら、この会社だ」と思われる存在になることは必要です。その積み重ねがブランドとなり、紹介を生み、利益を積み上げ、企業価値を高めていきます。
一番になる場所を決める勇気
私は半導体業界でも、経営コンサルティングの現場でも、一つの共通点を見てきました。長く成長している企業は、「何でもできる会社」ではありません。「これだけは誰にも負けない」という強みを持つ会社です。
反対に、苦戦する会社ほど、「何でもやります」「どんな仕事でも受けます」と市場を広げ続けます。一見するとチャンスを増やしているようですが、実際には自社の強みをぼかし、お客様から選ばれる理由を失ってしまっています。
経営とは、「何をやるか」を決めること以上に、「何をやらないか」を決めることです。市場を絞ることは、仕事を減らすことではありません。会社の未来へ経営資源を集中させるということです。その決断ができる経営者だけが、小さな市場で圧倒的な存在となり、安定した利益を生み続けることができます。
経営の本質
会社を大きくすることが、経営の目的ではありません。会社を強くすることが、経営の目的です。強い会社とは、誰よりも広い市場で戦う会社ではありません。自社が最も価値を発揮できる市場を見つけ、その市場で圧倒的な信頼を築いている会社です。
私は半導体業界で世界を相手に仕事をし、その後、多くの中小企業の経営改善に携わってきました。その経験から確信していることがあります。
利益は、市場の大きさで決まるのではありません。
「どこで一番になるか」を決めた会社が、利益を生み続けるのです。
GHOST経営™は、「売れる会社」をつくる経営ではありません。市場を選び、構造を設計し、利益が積み上がる仕組みをつくる経営です。
だから私は、これからも経営者の皆様にお伝えし続けます。
大きな市場を追いかけるのではありません。
あなたの会社が一番になれる市場を、自ら設計してください。
それこそが、長く繁栄する会社をつくる、経営の本質なのです。
