Column Vol. 16 茶道に習う、人材の育て方の仕組と運用の秘密

 

 

日本の心と言えば茶道が有名ですが、この茶道は礼儀作法やおもてなしの基本とも言われています。しかし、「仕組化の運営と効率化のヒントが沢山詰まっている」と聞くことは少ないのではないでしょうか?

 

この茶道、実際に稽古につけば最初に習うことは、「基本」です。基本となるお点前では「薄茶」「濃茶」があり、それぞれ簡易化された内容を学びます。その基本が身につくまで何度も何度も練習をし、先生に注意されずに行えるまで行われます。

 

何故同じことを身につくまで何度も行うのでしょうか?

 

これは仕事でも同じだということです。何度もやる事は、その仕事の基礎であり、基盤とも言えます。

 

茶道の場合、無数にある複雑な稽古の基礎は変わらない、と言うことです。その複雑さは、茶碗、棗、お茶入れ、御仕覆、茶杓、茶筅、棚、炉や風炉、炉縁、炭、掛け軸、花、花入れ、着物…など、それぞれの季節や点前により全て変わります。またその種類も真・行・草と3つのレベルに分かれているので、その組み合わせは数えきれないほどです。

 

この基礎となるものが簡易的な薄茶や濃茶の稽古をやる事で、後に習う複雑な稽古の柱となり基盤となり、これが出来るからこそ他のことが出来るものです。仕事場では、これを「訓練」と言います。

 

こうしてみると、茶道と言うものは、基礎で仕上げ応用に基礎が必要となるようになっている「仕組化」されたものであることが分かります。

 

この「仕組」があるからこそ、多くの人が茶道を学ぶことが出来、海外にも受け入れられるようになっているのです。

 

仕事で考えた場合、経営の基盤となるものがちゃんと「仕組化」されていることが前提となり、それをしっかりと出来るように指導出来る「人材」が必要になります。指導をするからには、皆が同じことを同じクオリティーで出来ることが求められ、そこには当然基準と評価、手順が必要となります。

 

茶道でも同じで、基礎と初期の応用部分には書籍による稽古本という「手順書」があります。現在では、時代の流れもあり、DVDも出ており、画像でイメージ出来、その流れも分かるようになっています。ビジネスに於いてはなおさら、お客様に提供する商品やサービスにも当然誰がやっても同じクオリティーが提供されるための手順書、基準、評価が揃っているはずです。

 

この「イメージできる事」、「いつでも確認し作業できること」が明確であればあるほど、現場では社員が自立するためのきっかけとなり、基準により仕組化された作業のクオリティーも上がります。また、評価することで、社員の自立した責任感も生まれ、自ら考えるようになります。これが出来るのも「仕組化」された中で、同じことを何度も繰り返すことで、効率化のカギが見つかるからです。

 

この一連の仕組が出来ると、強い組織へと変貌していき、社長の本来の仕事である「決断」や「改革」をする時間が増えます。その時間が増えることで、着実に狙った目標をクリアーすることが出来るようになります。それが弊社のプログラムです

 

残念ながら茶道の稽古には、一番大切なことが形骸化により失われてきています。それは本来の茶道の「おもてなし」であり、茶道具とっても全てが巨大なビジネス化をしている現代において、一番大切な「お客様を最大限満足させる」こと、そして一つひとつの作法の「意味」を伝えきれていないのも事実です。

 

ビジネスに於いて、CS(カスタマーサティスファクション、顧客満足)の追求や仕事場での作業一つひとつの意味合いが伝わらなければ必ずと言っていいほど良いものは作れないと断言できます。

 

社長が現場に翻弄される会社に、その延長線上には3年後、5年後という未来は見いだせません。本気で成長企業を目指す経営者は、「仕組」を先に買うものです。それは、そのあとに「時間」が手に入るからです